当院では、皆さんが安心して超音波検査を受けられるように感染対策に全力で取り組んでいます。
産婦人科では、胎児や子宮、卵巣の検査に超音波検査(お腹の上から行う経腹超音波と、腟内から行う経腟超音波)をよく使います。これらの検査は、患者様にとって、とても重要なものです。
しかし、超音波検査の感染対策が適切に行われないと、感染のリスクが高まることがあります。実際、国内外で超音波プローブ(検査に使う機器)が細菌やウイルスに汚染されていたという報告が多くあります。スコットランドの調査では、超音波プローブをしっかり消毒していない場合、検査を受けた患者様が感染しやすくなることがわかりました。
「産婦人科領域における超音波検査感染防止マネジメントバンドル2023」より
スポルディング分類は再利用可能な医療機器や器具の消毒及び滅菌の必要性の分類です。
経腟プローブは高水準の消毒が推奨されています。
Spaulding E.H.J Hosp Res. 1957; 9: 5-31
超音波プローブ高水準消毒器 trophon®2
当院では再利用可能な医療機器からの感染リスクを減らすために、超音波検査用プローブの高水準消毒器trophon2を導入しております。
【trophon2の特長】
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高い消毒効果
trophon2は、超音波プローブに付着するさまざまな病原菌やウイルスを効果的に殺滅または減少させます。これにより、感染リスクを大幅に低減します。 -
迅速な消毒プロセス
消毒プロセスはわずか数分で完了しますので、患者様をお待たせすることなく、効率的に診療を行うことができます。 -
環境に優しい
trophon2は、環境に優しい消毒方法を採用しており、廃棄物の発生を最小限に抑えています。 -
簡単な操作
操作はシンプルで、医療スタッフが容易に使用できる設計となっています。これにより、消毒作業がスムーズに行えます。
滅菌・消毒レベルと微生物殺滅効果
※1) MRSAを含む
※2) 薬剤耐性菌を含む
※3) 真菌の子嚢(Microascus cinereus, Cheatomium globosum(糸状菌))が抵抗性を示すとの報告あり(参考資料②)
※4) マイコバクテリア(非結核性抗酸菌)(M. chelonae, Mycobacterium avium-intracellulare, M. xenopi)が抵抗性を示すとの報告あり(参考資料②)
※5) 大量の芽胞が存在する場合などは十分な効果が得られないことがある/長時間の接触が必要な場合がある(参考資料①②)
※6) A型肝炎ウイルスに効果が認められないとの報告あり(参考資料②)
※7) より高濃度(1,000ppm)の塩素が必要である(参考資料②)
※8) 非エンベロープ型ウイルスの不活化にはより高濃度(1,000ppm/15秒以上の浸漬)が必要との報告あり(Sanekata et al., Biocontrol Science, 2010, 2:45-19.)
※9) B型肝炎ウイルスに対する消毒効果が不十分との報告あり(厚生労働省 B型肝炎について(一般的なQ&A) より)
※10) 温度、消毒薬対ウイルスの容量、たんぱく質の有無により影響を受ける(参考資料③)
※11) A型肝炎ウイルスやポリオウイルスに無効であるとの報告あり(参考資料③)
※12) コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルスに対し殺ウイルス効果が得られないとの報告あり(参考資料②)
※13) Alcaligenes,Pseudomonas,Achromobacter flavobacterium属などにはまれに抵抗菌株がある(クロルヘキシジングルコン酸塩消毒用液5%「NP」添付文書 より)
参考資料
① FDA-Cleared Sterilants and High Level Disinfectants with General Claims for Processing Reusable Medical and Dental Device
② 「医療施設における消毒と滅菌のためのガイドライン」 CDC 2008
③ 医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン
引用文献
Incidence of residual bacterial contamination of transvaginal ultrasound probes. Oide et al., J. Med Ultrason (2019)
2012;7(10):e48137. doi: 10.1371/journal.pone.0048137.
Ngu A, et al. Infect Control Hosp Epidemiol. 2015 May;36(5):581-4.
Alfa MJ. Infect Control Hosp Epidemiol. 2015;36(5):585-6.
Merz E. Ultraschall Med. 2016 Apr;37(2):137-9.
Buescher DL, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2016;47(5):646-51.
NHSScotland Guidance for Decontamination of Semi-Critical Ultrasound Probes; Semi-invasive and Non-invasive Ultrasound Probes. Health Protection Scotland Jan 2017
導入日 2021年12月21日